今回は、自分が泊まった西成の安宿の中に置いてある本棚(宿泊中の暇つぶし用に置いてあるマンガ本など)の中身をチェックしてみた話を。
(宿の中の細かい部分を観察すると、地域性や宿泊客の側面などが色々見えてきて興味深い(以下参考記事))

 安宿旅行記・宿の写真で振り返る格安ホテルの思い出など(2)
 http://yasuitabi.blog.jp/archives/1073564938.html

西成住民の意外な嗜好が見える一方、宿のイメージが一変するほどの本のラインナップだったこともあったりと意外と奥深かった。

※宿によってはホテルの管理物でなく、単に廊下においてあった本というだけで、過去に泊まった人が置きっぱなしにしただけのケースもあるかもしれないことを付記しておく。


■ビジネスホテル福助
各フロアの廊下の隅っこに本棚が置いてあるが、冊数はまちまちで10冊程度の本がそれぞれの段に平積みされていた。
(参考までに、宿の詳細(よそいき風のレポート)は以下)

 安宿旅行記・大阪環状線・新今宮駅「ビジネスホテル福助」(1泊1500円~)
 http://yasuitabi.blog.jp/archives/1069305784.html

まず、男の話題(?)として欠かせない、パチンコ雑誌、車雑誌「ベストカー」、そしてギャンブル系の新書の定番「ツキの法則」があった。
(現場作業に出る西成住民の話題のネタなのかとも思ってしまう。俗に言う「工場やドカタ仕事だと、休憩時間や飲み会で出る話は車・ギャンブル・女の話ばっかり」ってやつ。今なら車がソシャゲとかに変わってそう?)
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また、少年ジャンプの数ヶ月前の号が飛び飛びに置かれていた。
(質素な3畳一間で一泊ということでとりあえず時間はあったので、ハンター×ハンターの文中の長い説明をじっくり読んでみたり…じっくり読んでも理解し切れなかったが)
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そして驚いたのがいわゆる「萌え系」と言われる4コマ雑誌に同人誌が置いてあったこと。

「まんがライフ」はなんとなく見覚えがあるが、真ん中の「××××(一応伏字)海未ちゃん総集編」はぐぐったところアニメの「ラブライブ!」の同人誌の模様。
(おそらくホテルの管理物ではなく、宿泊した方が置いてった本と思われる。西成から通天閣まで歩き、さらに北へもうちょっと歩くとこういう同人誌店が多い日本橋オタロードがあるが、住民がそこで買ったのだろうか…)
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■パークイン(PARK INN)
入口近く、フロントのそばのテーブル上に雑誌や小説などが置かれていた。
(宿の詳細は以下)

 安宿旅行記・大阪環状線・新今宮駅「パークイン(PARK INN)」(1泊1400円~)
 http://yasuitabi.blog.jp/archives/1073276801.html

少年ジャンプは定番として、コンビニコミックの「味いちもんめ」(一冊だけぽつんと)、そして文庫本の「たそがれ清兵衛」と、なんとも(良く言えば)バラエティ豊かなラインナップが、様々な境遇の人々を飲み込む西成を象徴している感じ。
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■ビジネスホテル来山北館
今回、一番驚かされたのがこちらのホテル。
(宿の詳細は以下)

 安宿・大阪「ビジネスホテル来山北館」(1泊2500円~)へ再び
 http://yasuitabi.blog.jp/archives/1073757258.html

ホテル1階のラウンジスペースにくつろぎながら読める本棚がいくつかあるのだが、蔵書が図書館かネカフェ並みと言ってもいいほど充実している。
(右下の方には「風の谷のナウシカ」なんかも見える。本の上に置かれたオセロゲームのコマが全部黒だったのもちょっとシュール)
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「ジョジョ」など有名作品や西成住民向け(?)にギャンブルマンガの「賭けグルイ」、普通の少年漫画っぽい「月刊少女野崎くん」など、年代もジャンルもとにかく豊富。
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さらに専門書っぽい大判本も多数置いてあるのだが、「下級生・完全ガイド」など昔のパソコンゲームのガイドブックや「機動戦士ガンダム・モビルスーツ大全集」などメカの設定資料集、フィギュアの専門誌(?)「レプリカント」など、ここはブックオフか?と思わせるラインナップで、西成ドヤ街とかけ離れた感じがすごかった。
(サブカル・オタク文化好きな外国人宿泊客向けなのだろうか…確かにここのホテルは外国人が比較的多めだが)
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この手の本棚(宿文庫)の成り立ちって、過去にホテルに泊まった人が読んでた本を部屋に置いていってそれが溜まって自然発生的にできたケース、ホテル側が用意したケースなど様々あるのだろうが、本を通して宿の歴史が示されるようでなかなか興味深いので、引き続きチェックしていきたい。
(現場作業者だけでなく、観光客や外国人なども含め本当に様々な人が西成に出入りしているのを示す一面なのかもしれない)